腰の痛み
- クリニック 有栖川整形外科
- 2023年6月29日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年3月22日

腰の痛みを引き起こす主な病気として以下のような疾患が挙げられます。
若年期/筋筋膜性腰痛症、腰椎分離症
中年期/筋筋膜性腰痛症、腰椎椎間板ヘルニア、非特異性腰痛症
高齢期/腰部脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折
これらの原因は、姿勢や動作、加齢、遺伝、外傷などにより、筋膜や椎間板、椎間関節といった腰椎の動く部分の「炎症」か「変形」から来る痛みが大半です。
STEP 01|原因を調べる
まずはご自身の病名や重症度を知ることから始めよう
● デジタルX線検査
被曝量が少なく、デジタル処理にて均一な良い画質のX線検査により、関節の変形や形状を確認します。
● MRI検査
X線検査ではみることができない神経や椎間板の状態を確認します。
※ 必要に応じて連携機関でMRI撮影を行います。
STEP 02|痛みをとる
一人ひとりに最適な治療
● 薬
消炎鎮痛剤には、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬が使われます。
● 漢方薬
当院では、患者様の治療に西洋医学に加え、漢方医学を取り入れています。
● ブロック療法
ブロック療法は、痛む部位の神経付近に麻酔薬を注射することで、痛みを取る治療法です。
薬物療法と比べて全身への影響が少なく、即効性が高いというメリットがあります。
● 鍼治療/自費診療
鍼治療とはカラダの特定の経穴(ツボ)を針で刺激し、症状を緩和する治療法です。
世界保健機関WHOにも効果が認められており、アメリカ、ヨーロッパでは日本以上に医療現場、プロスポーツ現場で活用が進んでいます。
● リハビリテーション
当院のリハビリテーションは、医療資格を持つ理学療法士が一人ひとりの症状に合わせた最適な徒手療法・運動療法で対応します。
STEP 03|痛くないカラダをつくる
予防・エイジングケア
● コンディショニング/自費診療
当院のコンディショニングは、医療資格を持つ理学療法士が医師の診断をもとに、症状の改善はもちろん、予防医学に基づいてストレッチからトレーニングで身体の状態をより良い方向に整えていきます。
● Youtube(動画)
自宅でもご自身に最適な体操を紹介しておりますので、ぜひお試しください。
急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰)
症状
急性腰痛症は顔を洗う際に前屈した瞬間や体勢を変えたり、体をひねったりなど不意な動作によって生じる腰の痛みです。
主な症状は動作時や特定の姿勢をとった際に腰に激しい痛みを伴うことが多く、この痛み一般的に数日から数週間で軽快することがほとんどです。
原因
急性腰痛症の痛みの原因は不明確ですが、関節内への滑膜陥入(関節に滑膜が挟まり込むことで、炎症を引き起こしたり、動きを制限して痛みが生じること)や筋組織や靭帯の過度なストレス、椎間板の異常、あるいはそれらの組み合わせによって生じるとされています。
不意な動きで症状は発症する場合もありますが、重い荷物を繰り返し持ち上げたり不自然な動作、長時間の同じ姿勢の維持などが原因で起こる場合もあります。
急性腰痛症では、ほとんどの場合特別な検査や手術は必要ありませんが、症状が数週間以上続く場合や、足のしびれなどの症状がある場合は、MRIの検査を行う場合があります。
これらの症状は椎間板ヘルニアなど急性腰痛症以外の疾患との鑑別が必要なため、医師による適切な処置を受けることが重要です。
急性腰痛は再発リスクが高く、症状を繰り返している場合では慢性化しやすいため、症状が軽減したら理学療法士によるリハビリテーションをおこない、姿勢や動きのクセを確認し再発防止を行いましょう。
治療・アドバイス
保存療法:まずは腰の痛みを軽減・緩和する処置を行います。一般的に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方することで痛みと炎症を抑えます。
また、当院ではコルセットの装着を提案する場合があります。コルセットは腰部に適切なサポートを提供し、動作時の痛みを軽減させる効果が期待できます。
リハビリテーション:医師の指示のもと理学療法士によるリハビリテーションを行います。急性腰痛直後のリハビリテーションは限られますが、主に痛みの軽減を目的とした治療手技などを愛護的に行います。
症状が軽減した場合などでは、姿勢と動きの癖などを評価して柔軟性や筋力を改善するためのストレッチやエクササイズを処方し再発防止プログラムを提供していきます。
より細かく専門的な指導を受ける場合には理学療法士によるDr.コンディショニング(自費サービス)もございます。
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筋筋膜性腰痛症
症状
筋筋膜性腰痛症は医師の診察や画像検査(レントゲンやMRI)などで腰痛の原因が特定できる特異的腰痛とは異なり、厳密な原因が特定できない非特異的腰痛の中に含まれます。主な症状は長時間同じ姿勢を続けた後に生じる腰痛や不良動作などが繰り返されることで腰に痛みを訴えることがあります。腰周辺の筋肉に緊張やコリを感じやすいことも一般的です。
原因
筋筋膜性腰痛症の痛みは、筋肉や筋膜(筋肉を包む薄い膜)の過度な緊張やストレスによって引き起こされます。不適切な姿勢、重いものを持つ際の不適切な方法、長時間にわたる座位など、日常生活の中での様々な要因が原因となり得ます。
治療・アドバイス
保存療法:筋筋膜性腰痛症の治療は痛みの管理と機能の回復に焦点を当てた治療を行います。痛みが強い場合には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬物療法や漢方薬を処方します。
リハビリテーション:医師の指示のもと理学療法士によるリハビリテーションを行います。リハビリでまず、治療手技が用いて筋肉や筋膜の緊張を緩和していきます。症状が軽減したり改善した場合では硬くなった腰まわりの筋肉の柔軟性と動きの質を向上させるためのストレッチ・エクササイズを行います。
このような症状は数日から数週間で改善する傾向にありますが、一度発症すると、その後長期に渡り再発するリスクが高いため、痛みの軽減・緩和したら終わりではなく、また痛みや症状が出ないように予防していくことが重要です。
当院では理学療法士によるDr.コンディショニング(自費サービス)を提供していますので、症状が改善された場合は医師に相談の上、予防プログラムサービスもご利用ください。
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腰椎椎間板症/腰椎椎間板ヘルニア
症状
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰の痛みや下肢に放散する痛み(坐骨神経痛とも呼ばれることがあります)が主な症状です。
一側下肢のしびれや力の低下を感じたり、咳やくちゃみ、排便時のいきみなどに症状が増悪する場合があります。
重症例では感覚障害や脱力感を訴える場合があります。これらの症状は、椎間板と呼ばれる組織の一部が飛び出し、近くの神経を圧迫することによって生じます。
原因
腰椎椎間板ヘルニアの原因としては、労働環境など腰に過度の負荷がかかるこことで椎間板の変性を促進し、その結果として髄核(中央のゲル状の組織)が椎間板の外側を突き破ってしまうことで神経を圧迫することで生じます。
治療・アドバイス
保存療法:腰椎椎間板ヘルニアの治療は通常3ヶ月以内に軽快するため、保存的な治療が第一に試みられます。薬物療法(痛みや炎症を和らげるための薬)、
リハビリテーション:医師の指示のもと理学療法士によるリハビリテーションを行います。リハビリでは徒手療法や背骨周囲の筋力を強化したり柔軟性を向上させる運動療法などを行います。
手術:症状が重度の場合やこれらの方法で改善が認められない場合、手術が検討される場合があります。手術では、飛び出した椎間板の一部を取り除くことで、圧迫されている神経を解放し、症状を軽減します。
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腰部脊柱管狭窄症
症状
腰部脊柱管狭窄症の主に中高年に発症しやすい腰の疾患で主な症状には、腰痛やおしりから足にかけてのしびれ、下肢に脱力感や力の入りにくさがあります。
特に体を後屈させた時に症状が悪化することが多く、この症状は長時歩いているときなどで神経性間欠跛行(脊髄神経が圧迫されることにより、歩行中に足の痛みやしびれが生じ、一定時間休むと症状が軽減する、特有の歩行障害のこと)が認められることがあります。
一方、症状は前かがみの姿勢で痛みが軽減することがあります。これらの症状は、狭窄した脊柱管が神経根を圧迫することによって引き起こされると考えられます。
原因
腰部脊柱管狭窄症の原因としては、主に加齢による退行性変化(特に変形脊椎すべり症や変形性脊椎症など)が挙げられます。
年齢を重ねるとともに、脊柱の椎間板が摩耗したり、脊椎の骨が変形するなどして脊柱管が狭窄し、神経を圧迫することで症状を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症かどうかを判断するためには医師によって病歴や画像所見、神経学的所見などを組み合わせて診断します。
治療・アドバイス
保存療法:痛みが強い場合には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬物療法や漢方薬を処方します。
リハビリテーション:医師の指示のもと理学療法士によるリハビリテーションを行います。リハビリでは姿勢や動きを評価を行い、負担がかかっている部位に対して治療手技やストレッチなどを処方し、筋力強化や動きの癖を修正するためのエクササイズを指導します。
手術:痛みや会陰部のしびれや灼熱感、馬尾症状(腰部の神経束が圧迫されることによって引き起こされ、排尿困難、排便障害、会陰部の感覚喪失などの膀胱直腸障害を含む一連の重篤な症状のこと)がある場合や保存療法で一定期間行ったにも関わらず十分な改善が見られない場合には、手術療法が検討されます。
手術によって狭窄した脊柱管を拡大し、圧迫されている神経を解放することで、症状の改善を図ります。
腰部脊柱管狭窄症に対する正確な診断と適切な治療計画は、患者さん一人一人の状態に応じて整形外科医が決定します。
もし上記のような症状がある場合は、速やかに整形外科クリニックを訪れ、専門医のアドバイスを受けることをお勧めします。
当院では不定期で脊椎専門外来を行っております。詳しくはお電話でお問い合わせください。
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腰椎分離症
症状
腰椎分離症は、腰の椎骨が正常につながらずに一部が分離してしまう状態を指します。これは特に若年層のアスリートに多く見られる整形外科の疾患です。
以下に、患者様にも理解しやすいように、この疾患の症状、原因、治療方法を説明します。
腰椎分離症は特にスポーツ活動時の腰の痛みや重いものを持ち上げる動作、あるいは長時間の立ち仕事後に悪化することがあります。
この痛みは通常、活動時に強くなり、休息によって軽減されます。また、痛みは一般的に腰の一方に集中し、症状がひどい場合では下肢にしびれが生じる場合があります。
腰椎分離症は一般的にスポーツ活動をおこなう10代の男性に多い疾患です。成長期のスポーツ選手の腰痛の30〜40%を占めるため、スポーツ活動に伴う腰痛が生じている場合は痛みを我慢する前に整形外科を受診することが重要です。
※腰椎分離症を放置しすると脊柱の変形が進行し、若い時期から慢性的な腰痛を生じる可能性があり、脊椎ヘルニアや脊椎管狭窄症などの病態につながるリスクが高くなります。
早期発見と適切な治療は、若年層における将来の健康リスクを最小限に抑え、症状の予後の悪化を防ぐために重要です。
原因
腰椎分離症の原因は、繰り返しの過剰な負荷や特定のスポーツによる急激な曲げ伸ばし動作が挙げられます。
これにより、腰椎の骨に微細な亀裂が入り、最終的に分離してしまうことがあります。
若年層では、成長期における骨の成長速度と筋肉や腱の伸縮性の不一致が原因となることもあります。
治療・アドバイス
腰椎分離症の治療には、まず保存的治療が第一に考慮されます。これには安静、薬物療法(痛みや炎症を和らげるための薬)、物理療法が含まれます。
特に重要なのは、患部を適切に休ませることと、リハビリテーションを通じて周囲の筋肉を強化し、支持力を高めることです。
ほとんどの患者さんはこれらの治療で改善を見ますが、症状が持続する場合には、手術的治療を検討することもあります。
手術は分離した骨片を固定することにより、安定性を取り戻し、痛みを軽減することを目的とします。
脊柱圧迫骨折
症状
腰椎圧迫骨折は、一般的に中高年層で多く見られ、腰部に激しい痛みを感じることが多く、立っている、座っている、歩くなどの動作で痛みが増すことがあります。
特に前かがみになる動作で痛みが強くなることが特徴的です。時に、骨折部位から神経への圧迫により、足への放散痛やしびれを感じる場合もあります。
原因
腰椎圧迫骨折の主な原因は、高齢者に多い骨粗しょう症によるものや、不慮の事故や転倒による直接的な衝撃が挙げられます。
特に骨粗しょう症による場合、骨の密度が低下しているため、少しの衝撃で骨折に至ることがあります。
また、若年層では高所からの転落によるが外傷で発症する場合があります。胸腰椎移行部(背中から腰の間)に後発します。
治療・アドバイス
保存療法:腰椎圧迫骨折の治療方法には、基本的には安静にして自然治癒を促す方法から、骨折部位を固定するためのコルセット装着、痛みの管理のための薬物療法があります。
リハビリテーション:医師の指示のもと理学療法士によって行います。リハビリテーションでは、痛みが落ち着いた後に、腰椎の安定性を高めるための筋力トレーニングや、日常生活動作の指導が行われます。
手術:症状が重症の場合や、神経症状が伴う場合は、手術が必要となることもあります。治療方針などはお身体の状態や患者さんのニーズなど一人ひとり異なるため、診察時に担当医師とご相談ください。
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