肩の痛み
肩の痛みは、多くの人が経験する不快な症状です。肩の痛みの原因はさまざまで、筋肉や腱、関節、神経などの肩周囲の組織に問題がある場合や、首や背中などの他の部位から痛みが放散してくる場合があります。
肩の痛みには、以下のような一般的な疾患が関係していることがあるため、痛みや違和感がある場合は放置せずに医療機関への受診をおすすめします。

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
症状
肩関節周囲炎の主な症状は、肩の痛みや動きの制限です。特に、腕を上げたり後ろに回したりするときに痛みが強くなります。
また、夜間に横になると痛みが増すこともあります。肩関節周囲炎は慢性的な病気で、長期間にわたって症状が持続することが多いです。
原因
肩関節周囲炎の原因は、肩関節の過度な使用や負荷、加齢による変性、外傷などが考えられます。
特に、デスクワークやパソコン作業などで肩を前方に傾けている姿勢を長時間とることや、重いものを持ち上げたり投げたりすることなどがリスク要因となります。
また、肩関節周囲炎は他の肩の病気と併発することもあります。例えば、腱板損傷や凍結肩などです。
治療法・アドバイス
肩関節周囲炎の治療方法は、一般的に保存的なもがほとんどです。保存的な治療方法としては、安静や湿布、鎮痛剤や消炎剤の服用、注射や療法士によるリハビリテーションなどがあります。これらの治療方法は、痛みを軽減したり関節可動域することを目的としています。
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腱板損傷
症状
40歳以上の男性に好発します。
肩を動かすと痛み、関節の動きが悪くなり。夜間痛で受診されることが多いです。
運動時痛はありますが、五十肩と違って多くの患者さんは肩の挙上は可能です。
症状によっては、挙上するときに力が入らない、挙上するときに肩の前上面でジョリジョリと音がするという訴えもあります。
原因
肩の深部筋である腱板が骨と骨(肩峰と上腕骨頭)に挟まれているという解剖学的関係と、腱板の老化が原因で、中年以降に発症しやすいです。
明らかな外傷によるものは半数で、残りははっきりとした原因がなく、日常生活動作の中で、損傷が起きます。
治療・アドバイス
急性外傷で発症した時には、三角巾で1~2週間安静にします。
70%は保存療法で軽快します。
非外傷の場合の保存療法では、注射療法と運動療法が行なわれます。
注射療法では、肩関節周囲炎を併発して夜間痛があると、水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤を肩峰下滑液包内に注射しますが、夜間痛がなくなればヒアルロン酸の注射に変えます。
これらの方法で改善しない場合は、手術(関節鏡など)を勧めることもあります。
当院では必要に応じ、漢方や鍼治療やパーソナルトレーニングなども行っております。
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肩石灰沈着炎
症状
肩石灰沈着炎の主な症状は、肩の激しい痛みと可動域の制限です。痛みは突然始まることもあれば、徐々に悪化することもあります。
痛みは肩だけでなく、腕や首にも放散することがあります。また、肩が腫れたり、発熱したりすることもあります。
肩石灰沈着炎の発作は数時間から数日間持続することがありますが、自然に消失することもあります。
原因
肩石灰沈着炎の原因は明確には分かっていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
カルシウムやリンなどの無機物質が沈着する。
石灰沈着物が腱を圧迫したり、割れたりして、周囲の組織に刺激を与える。
刺激を受けた組織が炎症を引き起こす。
治療・アドバイス
肩石灰沈着炎の治療法は、以下のようなものがあります。
薬物治療:消炎鎮痛剤やステロイド剤などを服用したり、注射したりして、痛みや炎症を抑える。
衝撃波治療:体外衝撃波という機械を肩に当てて、石灰沈着物を分解したり、吸収させたりする。
肩石灰沈着炎の予防や再発防止のためには、以下のようなアドバイスがあります。
肩関節のストレッチや運動を定期的に行って、柔軟性や可動域を保つ。
肩への負担を減らすために、重いものを持ったり、高いところに手を伸ばしたりするときには注意する。
肩の痛みや違和感を感じたら、無理をせずに休息をとる。